リスクマネージメント?
リスクマネージメント、いかにも外資を彷彿とさせるような横文字言葉です。外資はリスクを効率よく分析しそれをうまく回避しているような感じを彷彿とさせる言葉です。
- しかし私は全く正反対のことを思います。
- リスクを科学的に分析し効率よくリスクを取捨選択する。いかにも「正しい」ようで「スマート」なようでと思うかもしれません。しかしその裏側には言い訳作りともとれる[リスクをとることを回避」する行動が見え隠れします。注意深く読んでほしいのですが、「リスクを回避」ではなく「リスクをとることを回避」しているのです。
- いつも感動しながら観る「プロジェクトX」ですが今回はトヨタです。フォードを始め輸入乗用車が日本の乗用車市場を席巻しようとしていたときにフォードとの提携話を断ってまで自社で初の乗用車を開発しようとしていた頃のトヨタの話でした。
- まだ乗用車開発のノウハウが無い時期でのそれは苦難に満ちた物だったようです。コイルスプリングは折れるし、スポット溶接のフレームの継ぎ目ははがれてしまうし、曲面を多用した外板はプレス時に破れるしと難関だらけです。
- その時に主査であった人がある技術者に言います、「開発とは先が見えなくても突っ走る夜汽車のようなものだ」。私に言わせればこれがある種、リスクマネージメントです。80/20で「いける」と思えば多少先が見えなくてもGOをかける、これがリスクマネージメントでは無いでしょうか?(ちなみにこの辺はいくら時間をかけて欧米人に説明しても分かってもらえないところです。逆に言えばそれが欧米の弱さなのであり、日本の(少なくとも昔の日本の)強さだったのです。)
- あの時、トヨタがフォードの提携を受けていれば今の日本の自動車業界は無かったでしょう。他の日本自動車メーカーが軒並み海外の技術給与をうけ委託生産を契約していた時期です。その後、トヨタがクラウンを発売しそれで一気に乗用車市場が国産車に向かったから今があるのです。そしてそのリスクが当時とれたのがその主査だったのだと思います。そしてそのトヨタが2003年、あのフォードのシェアを抜いたわけです。
- そんなリスクマネージメントは残念ながら私の知っている限りの外資では余り見られません。またそんな当時の気骨と度胸を今の日本企業も思い出すべきだとも思います。